関連用語集

1. 概念・ビジョン

  • ネイチャーポジティブ (Nature Positive / 自然再興): 2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復の軌道に乗せるという世界目標。2020年を基準とし、自然資本を「守る」だけでなく「増やす」ことを目指します。
  • 自然資本 (Natural Capital): 植物、動物、空気、水、土壌など、経済活動を支える天然資源のストック。ここから得られる利益を「生態系サービス」と呼びます。
  • 昆明・モントリオール生物多様性枠組 (GBF): 2022年に採択された、2030年までの世界共通目標。2026年は第17回締約国会議(COP17)が開催される重要な節目であり、各国に「移行計画」の実装が強く求められています。

2. 戦略立案・情報開示

  • ネイチャー・トランジション・プラン (移行計画): 自然への負の影響を減らし、回復を促進するための具体的な経営ロードマップ。2026年版ガイダンスでは、気候変動対策と統合した策定が推奨されています。
  • TNFD (自然関連財務情報開示タスクフォース): 自然関連のリスクと機会を財務情報として開示するための枠組み。2026年にはISSB(国際サステナビリティ基準審議会)との統合が進み、より「財務的マテリアリティ」を重視する方向に進化しています。
  • LEAPアプローチ: TNFDが提唱する評価プロセス(Locate:発見、Evaluate:診断、Assess:評価、Prepare:準備)。移行計画を策定するための基礎調査手法です。
  • SBTN (Science Based Targets Network): 科学的根拠に基づき、企業が守るべき自然の境界線(限界値)を設定するためのガイドライン。

3. 日本の政策・制度

  • 30by30 (サーティ・バイ・サーティ): 2030年までに陸と海の30%以上を保全する日本の国家目標。
  • 自然共生サイト (OECM): 民間の土地や社寺林など、保護地域以外で生物多様性の保全に寄与している区域を環境省が認定する制度。2026年度までに500箇所以上の認定が目標とされています。

4. 技術・評価手法

  • 生物多様性増進活動促進法: 2024年成立、2025年本格施行の新法。企業が作成する「増進活動実施計画」を大臣が認定し、法的手続きの簡略化や税制・金融上のインセンティブを付与する仕組みです。
  • ネイチャーポジティブ経済移行戦略: 自然資本の回復をビジネスチャンスと捉え、経済成長に結びつけるための日本の国家戦略。
  • 生物多様性ネット・ゲイン (BNG): 開発によって失われる自然を上回るだけの生物多様性を創出し、全体として「プラス(純増)」にすること。
  • eDNA (環境DNA): 水や土壌から生物のDNAを抽出し、生息種を特定する技術。広域かつ高精度なモニタリングを可能にし、移行計画のエビデンス(根拠)として活用されます。
  • Eco-DRR (生態系を活用した防災・減災): 森林や湿地など自然の機能をインフラとして活用し、災害を抑制する手法。建設コンサルタントが担うグリーンインフラの中核技術です。

出典・参考元リスト

  • TNFD: Glossary of terms V6 (January 2026)
  • 環境省: ネイチャーポジティブ経済の実現に向けた施策資料 (2026年3月)
  • ISSB: 自然関連のリスクと機会に関する開示基準(BEES)事務局ペーパー (2026年)
  • 環境省: 生物多様性増進活動促進法の概要と運用指針 (2025年施行)